予防歯科
目 次
定期健診について
丁寧に磨いているつもりでも、全ての汚れを除去することは困難です。ヨーロッパで行われた研究では歯ブラシだけでは全体の汚れの50~60%しか除去できないという報告があります。
歯の定期検診の役割は主に3つです。患者様のご自宅のケアだけではしきれないフォローを行っていきます。
①虫歯・歯周病・その他トラブルが起きていないかのチェック
②歯石や着色のお掃除
③自宅での歯のケアのアドバイス
なかなか自身では、初期虫歯や磨き残しには気がつけないものです。定期健診に通っていれば、見つかったとしても初期虫歯の可能性が高いでしょう。
初期虫歯であれば、1回、2回の通院で完治して治療費も比較的安く済みます。
定期健診を行うメリット
歯科医師、歯科衛生士などの専門家が専用の機器を用いてお口の中の清掃を行うのがPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)です。
プラーク(歯垢)や歯石が成長すると、バイオフィルムと呼ばれる歯磨きでは取れない汚れになります。PMTCではこれらの汚れを除去し、汚れを付きにくい状態にすることができ、歯の白さや健康な歯肉を取りもどします。虫歯、歯周病の予防だけでなく、口臭の改善などにも効果があります。
PMTCの特徴
・歯の白さや健康な歯肉を取り戻せる
・爽快感があって気持ちがいい
定期健診でやることは?
定期検診の際は、専門の歯科衛生士が普段の歯磨きでは不十分な部分の清掃、磨き残しや歯石の除去などを行います。所要時間は30~60分です。
定期健診の流れ
定期検診の主な内容
・口腔内のチェック、歯石除去、虫歯、噛み合わせのチェック
・歯周病のチェック及び歯周ポケットの深さ測定
・PMTC(プロフェッショナルメカニカルトゥースクリーニング)
・歯ブラシ(歯間ブラシ、フロス)による歯磨き、歯磨き指導
・フッ素塗布、シーラント充填(必要に応じて)
定期検診費用
3,000円~5,000円程(保険適用、3割負担の場合)
市の乳幼児医療費給付、子供医療費助成制度(中学卒業まで)による補助が受けられます(200円または無料)。
くわしくはお住まいの市町村窓口にお尋ねください。
定期健診はどのくらいのペースで通うのが良いのか
治療の必要がない場合でも、3ヶ月に1度はご来院ください。(定期検診の時期が近づきましたら、お葉書でご案内を差し上げます。)
クリーニング(スケーリング)
クリーニングの流れ
●PMTCの流れ
時間:約30分
- ●歯茎の審査
健康な歯肉なのか?歯肉炎なのか?歯周炎なのか?を見ていきます。 - ●染出し(磨き残しを見ていきます)
赤色の染め出し液で歯垢(バイオフィルム)の付着状態を見て、1人1人のお口の状態にあったブラッシングのアドバイスをします。 - ●クリーニング
特殊な器具で歯石・歯垢・着色を除去し、汚れが付きにくくなるために歯の表面をつるつるにしていきます。 - ●虫歯のチェック
お口の中が綺麗になったところで、虫歯のチェックをしていきます。 綺麗な歯になったところで、汚れの中に隠れていた虫歯もしっかり見ることが出来ます。 - ●フッ素塗布
歯の質を強くします。最近が出す酸を抑制します。虫歯の発生・進行を予防します。
クリーニングを受ける頻度
歯医者さんでのクリーニングの一番の目的は、自分で落としきれない歯垢や歯石を落とすことです。そのまま放置していると虫歯や歯周病の原因になってしまいます。
クリーニングでは歯石も除去しますが、歯石になる前の歯垢の段階で取り除くことが一番重要です。3か月に一度のペースでクリーニングしていると、たいていの人は口の中を無理なくきれいに保てます。
歯ブラシ、フロス、歯間ブラシ
の使い方
歯ブラシ
歯垢を上手に取る磨き方
現在は、歯ブラシの毛先を歯の表面に直角に当て、毛の弾力を利用して軽い力で細かく動かして取る方法が、歯垢を最も楽に早く取る磨き方です。
頑張ってきれいにしようと強い力で大きく動かすと、毛が押しつけられて弾力を損ない、かえって取れません。
歯と歯の間や、歯と歯ぐきの境目などは、歯垢が一番残りやすい場所なので、手鏡を見て慎重に毛先を当てて、時間をかけて磨きましょう。また、下の前歯の内側や、上の汚れ(歯垢)の残りやすい部分、歯と歯の間や歯と歯ぐきの境目、奥歯の外側は、歯石(歯垢が古くなって石灰化したもの)になりやすいところなので、気をつけてしっかり磨きましょう。
歯ブラシの持ち方は、鉛筆を持つようにすると力が入らないで良いでしょう。応用として、前歯の歯と歯の間を磨くときは、親指と人さし指で縦に持ったりもします。あとは歯ブラシと手鏡を持って、このみがき方を一日2~3回、食後に実行できれば、歯ぐきは丈夫になっていくでしょう。
歯周病を予防するための
歯みがきについて
・歯ブラシは、鉛筆を持つ持ち方と指先で持つ持ち方を、磨く場所によって使い分けるようにしましょう。
・歯ブラシのあて方ですが、歯垢がたまりやすい場所は、歯と歯ぐきの境目です。そこに毛先を歯ぐきの方に向けてあて、やさしく磨きましょう。
・歯間ブラシの使用は、歯と歯の間に隙間ができる年齢になれば必要になります。自己流では歯ぐきに傷を付けてしまうこともありますので、使い方やサイズは歯科医院で教わって下さい。
・夜、寝る前の歯みがきは特に大切です。しっかり歯垢を取り除きましょう。
・歯みがきする時間が取れない人には、入浴中の歯みがきがお勧めです。体温が上昇してから歯みがきすれば、血行も良くなりますので効果的です。
フロス
「ホルダータイプ」デンタルフロス
(Y字タイプ)の使い方
まず、ホルダータイプのデンタルフロス(Y字タイプ)の使い方を簡単にご紹介します。
詳しい使い方は、下記の記事をご覧ください。動画で使い方を説明しています。
詳しい使い方はこちら
- ●デンタルフロスを歯にあてる
歯と歯の間にデンタルフロスをあてます。 - ●歯と歯の間に入れる
ゆっくり横に動かしながら、歯と歯の間に入れます。 - ●上下に動かす
中まで入ったら、上下に動かし、隣り合った歯の両方の面を磨きます。 - ●横に動かしながら取り出す
取り出す時も、ゆっくり横に動かしながら取り出します。
「ロールタイプ」デンタルフロスの使い方
次に、ロールタイプのデンタルフロスの使い方を簡単にご紹介します。
詳しい使い方は下記の記事をご覧ください。動画で使い方を説明しています。
詳しい使い方はこちら
- ●1回の使用分のフロスを取り出し、指に巻きつける
1回の使用分のフロスをケースから取り出し、左右の中指に2〜3回巻きつけ、指と指の間を1~2cmの長さにします。1回の使用分は40cmくらい。指の先からひじまでの長さが目安です。 - ●歯と歯の間に入れる
歯と歯の間にデンタルフロスをあて、横に動かしながら、ゆっくり歯と歯の間に入れます。鏡を見て場所を確認しながら使用しましょう。 - ●上下に動かし、歯垢を落とす
歯の根元まで入ったら、歯に巻きつけるようにして上下に動かし、歯垢を落とします。隣り合った歯の両方の面を清掃します。 - ●横に動かしながら取り出す
取り出す時も、横に動かしながらゆっくり取り出します。
デンタルフロスを使う時の「注意点」 | 1. 歯茎を傷付けないように 2. 歯科医師や歯科衛生士から指導を受ける 3. 歯科医院で相談 |
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歯間ブラシ
歯間ブラシを使うのはそれほど難しくありませんが、誤った使い方をすると歯茎を傷つけてしまいます。正しい使い方・注意点は以下のとおりです。
歯間ブラシの選び方
・歯と歯の隙間に合ったサイズの歯間ブラシを選びましょう。
歯と歯の隙間に対して歯間ブラシのサイズが小さい(細い)と、プラークを十分に取り除くことができません。逆に、歯と歯の隙間に対して歯間ブラシのサイズが大きい(太い)と、歯茎を傷つけて出血してしまうおそれがあります。また、サイズの大きい歯間ブラシを無理に押し込んで使っていると、歯肉が下がってしまう(歯肉退縮)ことがあるので注意が必要です。
また、歯肉炎や歯周病の方は、歯茎が下がって歯根部が露出していることがあります。歯根部は象牙質という軟らかい組織がむき出しになっているため、サイズの大きい歯間ブラシを使っていると象牙質が削れてしまうリスクもあります。
このような理由から、歯間ブラシは歯と歯の隙間にスッと入り、抵抗なく動かせるものがおすすめです。初めて歯間ブラシを使う方は、サイズの小さいものから試してみるのがいいでしょう。
歯間ブラシの使い方
・歯茎を傷つけないように気をつけましょう。
歯間ブラシをゆっくり歯と歯の間に通したら、左右の歯の側面に当てるようにして前後に動かします。歯の表側からだけでなく裏側からも歯間ブラシを通すことで、プラークの取り残しがより少なくなります。
すべての歯間にブラシを通しますが、通しにくい箇所がある場合はL字型とI字型を使い分けましょう。L字型は奥歯に、I字型は前歯に適しています。
歯間ブラシ使用時の注意点 | ●歯間ブラシを使うタイミング ●歯間ブラシの保管 ●歯間ブラシの交換時期 |
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歯石やバイオフィルムについて
歯石について
歯石の原因は、放置されたプラーク(歯垢)になります。48時間プラークを放置していると歯石に変わります。また、歯石をそのまま放置しているとどんどん硬くなります。硬くなると除去が難しくなり、歯茎の中まで歯石が進行すると麻酔を行って歯石を除去する必要があります。
歯石の種類ですが、歯肉の上に付着した歯石を歯肉縁上歯石と呼び、歯肉の下にできた歯石を歯肉縁下歯石と呼びます。歯肉縁上歯石は、白く唾液由来の歯石になり比較的柔らかいです。それに対して、歯肉縁下歯石は、血液由来の歯石になり非常に硬いという特徴があります。
バイオフィルムとは
バイオフィルムとは、口内の虫歯菌や歯周病菌などが結びついたもので、虫歯・歯周病の原因となってしまいます。専門的なクリーニングでしか落とせないため、ぜひPMTCをご検討ください。
バイオフィルムの蓄積
PMTCでクリーニングした後は、フッ素入りジェルで歯の表面をコーティングし、トリートメントさせていただきます。フッ素により、歯が強化され、舌触りもなめらかになってお口もサッパリ。PMTCはエステ感覚で受けられる方も多い治療法です。
「健康寿命」という言葉を
知っていますか?健康寿命とは、日常生活を心身ともに自立して、健康に過ごせる期間のことを言います。
日本は長寿国となっていますが、晩年は介護が必要になったり、健康上の問題で日常生活に支障が出たりする「不健康期間」が生じているのが事実です。不健康期間は男性で約9年、
女性で約12年平均寿命と健康寿命には差があり、男性で9.02年、女性では12.4年となっています。この差は、日常生活に支障がある「不健康な期間」です。
誰もが「長生き」することを願っていますが、長生き=健康とは限りません。晩年は「寝たきり」や「要介護」、「不健康」の状態になってしまう場合もあります。
ただ単に長寿を目指すのではなく、健康寿命を延ばし、不健康な期間を少しでも減らしたいものです。生涯に渡ってイキイキと生活するために、元気なうちに健康寿命を延ばすための取り組みを始めることが大切です。噛めることが健康寿命を延ばします
近年は、歯の健康と全身疾患の関係が明らかになってきていますが、歯がなく噛めなくなることによって、「要介護」の原因疾患を発症するリスクを高めることがわかっています。
歯がなく噛めなくなると、認知症や脳卒中、心臓病、転倒、糖尿病、肥満のリスクが高くなりますが、この多くが要介護となる主な原因になっています。介護が必要となる疾患を防ぎ、健康寿命を延ばすためには、多くの歯を残し「噛める」ことが大切です。虫歯や歯周病になって、痛みが出てから歯科を受診するのではなく、予防のための歯科受診が重要です。
健康寿命を延ばすための歯科診療を
当院は、痛い歯だけを診るようなことはありません。部分の歯ではなく口腔全体を診て、長期的にお口の健康を維持するための治療を行っています。また、噛み合わせはお口の健康のベースとも言え、正しい咬合をつくります。
予防を目的としたメンテナンスだけでなく、どの治療においても患者様の健康や健康寿命を延ばすことにつながるよう、スタッフ一同努めています。
初診時の費用について
当院は、各種保険をお取り扱いしております。保険適応の場合、初診時の費用は3,000〜5,000円程度となります。
受付の際に保険証の提示をお願いしておりますので、診療の際には忘れずにお持ちくださいますようお願いいたします。